言葉を紡ぐハムスターⅠレビュー1208Ⅰアパートメント

ほんとうに伝えたい言葉が生まれるとき。

お腹の中なのか、頭の中なのか、そのどちらかはわからないけど、ハムスターが住みついてる。回し車に乗って、くるくる、くるくると走り回っているあいつが、言葉を生んでいると思うのだ。

暮らしていると自然と生まれてくるモヤモヤ、違和感など、それらを見つけて、あいつがチョコンと車に乗り込み、言葉にできない感情を原動力に、くるくると走りはじめるイメージ。その回転で発電するかのごとく、言葉を生んでは、整えて、を繰り返し、ちゃんと伝えたい相手のために言葉を編んでいく。

それが、吃って、吃って、やっと言葉が生まれるとき。

気をつけたいのは、体内で飼っているあいつらのくるくると回るときのスピード、あるいは回し車の大きさ(円周)は、人それぞれってこと。性格、趣味嗜好、性別、トラウマ、世代、職業が違えば、ライフサイクルが違うわけで、一回転するまでの時間が異なるのは、当然っちゃ当然だろう。何回転もしなくちゃ、いい言葉は生まれてこない。

だれかのハムスターとその回し車を見て、そのペースについていけないことを憂いていてもしょうがなくて、自分のやつがどう回っていくのか、スピードと回し車の大きさを見定めて、自分のペースで回れたらいいのにな。そのためには、うまく回れるような気分になれる人と一緒に過ごせればいいかもな。

うま〜く、くるくる回していくための手段ってのも人によって違う。筆者もぼくも、おそらくアパートメントの住人さんの何人かも、同じように「書くこと」が一つのツールになっているんじゃないか。そして、他人のためでなく、自分のために書く時間を忘れない、ということを忘れたくないなぁ、そのためのなにかしらの引力が必要だよな、きっと。

吃ってしまうからこそ、青年は言葉を丁寧に編めるし、相手との間にあるゆるやかに流れる時を待つことができる。そして、インターネットという場のなかで表現する技を得てきた、そんな人がアパートメントの管理人でよかったとつくづく思うのだ。

吃ることが「いいこと」だなんて、思えなかったあの頃