東西のファシリテーションの違い(水上学舎を終えてみて)

いま、ぼくは「商店街」に熱狂していて、これをテーマにしたメディアづくりと場づくりを進めている。場づくりでいうと、那覇・牧志公設市場のある商店街のなかで、「水上家」というスペースを運営している。なぜこの名前なのかというと、ガープ川の上に建った「水上店舗」に入っていて、家のようにだれでも来れて、県内外のどんな人もくつろげる場所にしたいとの想いからだった。

そんな場所で、定期的に「水上学舎」というイベントをやっている。商店街のなかに学び舎を、子どもから大人まで、学び続けたい人、新しく始めたいなにかを持つ人が集まる場所をつくりたいとはじめた取り組み。カフェやしまくとぅば、エネルギーに写真をテーマに、これまでに9授業を行ってきた。

最近やったばかりの授業が「ファシグラ(ファシリテーション・グラフィック)」をテーマにしたもの。京都からはるばるハルくんに来てもらって、ファシグラの実演、座学、実践を3時間に込めて「情報整理」のコツを参加者のみんなで共有しましょう、という趣旨のもと今回は進めてみた。その会の前後も含めて感じたことを取りまとめておくことにする。

 

ハルくんと一緒に打合せをしていたときに、思わず聞いてしまったのは「どの地域がファシグラ盛り上がってるの?」という質問。関東と関西はやはりその地域に当てはまるのだけど、驚いたのが「新潟」という単語も聞こえたこと。学校教育のなかにファシグラを取り入れていれようとしてるのってのは楽しそうだな、と単純に思った。

少しツッコんで、元々違和感に思っていたことをハル君に再び訊ねてみる。「関東と関西のファシリテーションの色って違う気がするんだけど、どう思う?」ぼくは、ざっくりと言葉を選ばずに言えば、強者に重きをおいたファシリテーションをするのが東、弱者に重きをおいたファシリテーションをするのが西、という印象を持っていた。そのあたりについての確認の意味を込めての質問だった。

これまた簡単に省略させてもらうけども、ハルくんは「西、というか京都のほうが、掬い上げるような場づくりをする傾向がある」と答えてくれた。感度が高くて何かを自ら進んでやっていくタイプは積極的に場に参加してくれるからいいのだけど、そうでない、ある種、すぐにそういったギラギラタイプについていけないような人が居心地よく、そして、参加しやすい場をつくっていくのが京都式なんだ、とぼくの頭では納得したし、勝手に確信を得た気持ちになった。

だから余計に、ぼくみたいな弱者、ポンコツのような人間は、京都の場に参加すると心地よいのだと思うし、そういった体験があるからこそ、動きたいけど動けていない人たちへよく目がいくみたい。バーテンダーとしてカウンターを立っていたとき、飲み慣れて楽しそうに過ごしている人よりも、初めてかのように、ぽつんと一人でそわそわとグラスを手にとる人のほうが気になっていたのはそれだった。きっとそうだ。

沖縄における場づくり、そして、ファシリテーションのあり方は、きっと京都から学びを得たほうがいい気がするし、相性がよいとぼくは思う。なぜなら、いろいろな理由で抑圧され、自己肯定感の少ない人が多いように感じるから、(ぼくも含めて)その人たちを掬い上げる、というか、(言葉はおかしいけども)一緒に掬い上がっていくような場が必要だからだ。

 

まあ、そんなことを事前に感じながら、開催したファシグラの授業だったんだけど、うれしかったことは、「ファシグラ」という言葉を知らずに場に参加してくれた人が大半であったこと。未知との遭遇ではないけど、未知ってこわいものにも関わらず、思い切ってこの場に参加してくれた人たちには、本当にありがたいなぁ、と思ったし、運営側としては驚くばかりだった。

ハルくんが授業を進めていくと、これまた勉強になったのが、その会の進め方だ。アイスブレイクから、参加者が手を動かしてアウトプットするときのテーマの設定の仕方、話題の振り方が絶妙だなぁ、とただただ進行に関心させられた。沖縄全体的に言うと、偉い人が一方的に話して、インプットだけで終える形になりがちだから、インプットとアウトプットが交差し、ゲストと参加者が双方向にやり取りできる安心・安全の場づくりはさすがだったなぁ、と。

ファシグラの技術的な話をしてくれたときに、「ペンの持ち方」から教えてくれたんだけど、そこからこだわるのか!とその説明が入らないと気付きにくいけど実は大切なことが、ハルくんの口からポンポンと出てきてなるほどの連続で楽しかった。

会の最後に、参加者みんなから感想をもったんだけど、「字に個性が滲み出るかんじがいいですよね」と言ってくれた人がいて、その“お手製”感そのものが、場をあたたかくするなぁ、と共感させてもらったよ。

 

人と人、人ともの、人と場所、いろんな繋がりがあるけど、その関係性を整理して、ちゃんと可視化することによって、その場の議論をよりよい方向に持っていくためのファシグラ。

ライターとしても情報整理の仕方は似ているなぁ、とも思ったのと、どっかのイベントレポートを書くときに、ファシグラもやりつつ、その場で描きあげた成果物を使って記事を書くような“ファシグラ的ライター”がいてもいいのかもしれない、これは重宝されるぞ、と一瞬思ったので、少しずつファシグラについて学び、実践する場をつくっていこうと熱く思った。水上学舎のファシグラ部ができる予感……。

(や、このエントリ、実は1000字以内でまとめようと思ったのに、その倍以上も書いてしまい、本当にファシグラから情報整理のコツを学んだのかおまえは、というツッコミがありそうなのだけど、そこはソッと伏せておいてください、ね)