地域おこし協力隊になって、自分探しをしようとする若者の風潮について

ブームというか、ファッション性というのはこわいもんだ。そのレベルまで認知が上がると、“消費されるもの”になってしまうから。「地域おこし」もその領域にすでに入ってしまったように思えてしかたない。軽々しくその言葉が用いられ、すぐに手が届く存在ように扱われている気がする。

現在は京都を拠点に置きつつ(そのうち福岡になるそう)、日本各地を遊牧するように働く、「メガネと、」のタカハシタカシさんがSNSで次のような投稿をしていた。

(前略)その地域おこし協力隊という枠が特に若者の自分探しに使われているということ。直感でその地域に何かを受け取りソコに働き掛ける事は良いことだけど、本当にその直感が正しいのか何度も通って判断してから動いて欲しい。

自分の出来ることを試したいなんていうのも、それが上手く展開出来れば立派なものだけど、体力が無くなった地域で何かを起こそうなんて大抵は上手くいかないことが多いわけで。

本当にその地域のために何かをしたいのであれば、綿密に何が出来るかを調べてから行って欲しい。何処かの地域の成功事例を持ち込んでうまくいくんだったら、経済が良くなったり人口増えてるんだろうけど残念ながら自然動態を除いて社会動態だけでも増になってる所は殆どない。

ビジョンが漠然だったり実現性が危うい風呂敷を広げられる程、その場から去れない人々にとっては迷惑だったりする。

ハッとしたのは、「地域おこし協力隊という枠が特に若者の自分探しに使われている」というフレーズ。この点には、ぼくにも思い当たる出来事があった。

以前、地域系の動きについて書いていたぼくのブログ記事を見つけて、連絡のやり取りをし、会った若者がいた。その男性は大学卒業したての社会人1年目で、当時まだ5月頃だったから、入社して1ヶ月ちょっとで勤めている会社での業務に違和感があったそうだ。だから、すでに辞めることを考えていて、地域おこし協力隊としての参加を希望しているとのこと。

彼と話をしていると、「自分ができることは、今勤めている場所にはないけど、地域おこし先にはきっとある」というような、仕事に対するモヤモヤを地域おこしという大義名分にすり替えている気がしてしまった。自分の価値と可能性を試したいだけなら、「地域」に限らなくてもできるのに。それは、さっきタカハシさんが上げていた「自分探し」という単語にピシャリと重なって腹オチした。

 

話をその彼に戻すと、ムムムッと感じることがあった。よーく話を聞いていると、彼にとって縁もゆかりもなさそうな地域(県)に行こうとしていて、しかも一度も行ったことない地域に行こうとしている。「地域の素材をある程度わかった上で言ったほうがいい」「応募する前に、まずは足を運んで、そこの人に会ったほうがいい」などを話をして、確かにそうですね、という反応をもらえたのは幸いだった。

自分が実際に足を運んだこともない地域に、仕事があるからといって、勢いだけで飛び込むのはいかがなものか。ぼくはいつもそれを思う。そこにいる人の顔がある程度見えるようになること、そして、自分自身が関心興味を持てる地域資源があって、その活用方法も何もないままに、いきなり地域おこし協力隊として参加すると、大変だよきっと。

仕事の面だけではなく、くらしの面をどれだけ想像できるかというも大事。地域おこし協力隊でいくような場所は、たいていが狭いので、ある意味、その地域の人みんなが家族のような関係性だったりする。相性はそれなりにあるだろうから、その人たちと一緒にくらしていけるのか、何を大切にくらしているのか、を事前に知ることは下調べが必要だろう。

 

いつも通りにだらだらと書いてしまったけど、ぼくがここで主張したいのはやっぱり、「自分探しのためだけに地域おこし協力隊を使わないで」ということ。自分探ししたいだけなら、ふらふらしている旅人のほうがまだましだよ。短期でいる、長期でいる、浅く、深く、の違いは大きい。自分がそこで何を得たいのか、という受け取る側のことだけを考えちゃあいけない。自分が何を提供できるのか、をしっかりと考えたほうがいい。

その意味では、地域おこし協力隊員になる前に、すでに「自分ができること」とか「自分の価値」について考えることはできる。田舎で高齢者ばかりだから、都会の若者の自分が行けばどうにかなる、という安直な気持ちでいるのは、田舎と田舎と人をナメているのと同じだ。

地域に魅力を感じて、どうしてもそこへ行きたいのなら、ギブ&テイク(むしろギブ強めで)の精神で地域に入りこむことを考えれたらいいよなぁ。自分が欲しいもの、試したいものがある、ということだけで地域に一方的に寄りかかるだけでなくて。

「人という字は、人と人が支え合ってできている」という某ドラマの言葉があったけど、「地域という場所も、人と人が支え合ってできている」のだとぼくは思う。地域おこし協力隊を入れるような地域であれば、土着の人と外からきた人がうまく支え合い、共有し合い、協力し合わないと、やっぱりいい形はつくりにくいんじゃないかな、って。

 

まあ、とにもかくも、気になる地域があったら、まずは行ってみること。バイトだって、求人だけみて応募して受かったところは、働きはじめると相性良くないことも多いでしょ。働く場所の雰囲気をお客さんとして行ってみて、接客受けてみて、ここだ!と思ったほうがいい仕事できると思うんだ。

その「行ってみる」だけでなく、「居てみる」ことができるとおもしろくなると思っていて、そのための「試住」なんだろう。今ここに力を入れたいと思っているのも移住する前に、移住検討者にとても受け入れる地域側にとっても、お試し期間はあったほうが優しい。

だから、ぼく自身も定期的な試住に取り組みはじめた。役割としては、ぼくはずっと住み続けて根を張るという“土”ではなく、土の人たちが大切にしていることを遠くまで運ぶ“風”なんだろう。その地域で見つけたものを、都会やそれ以外の地域につないだりができればと思う。

逆にたためるステキな風呂敷だったら、幾らでも協力したい。

一番最初の投稿の文末にタカハシさんが書いていたけど、それはぼくもそう思う。ぼくは地域おこし協力隊員になることは絶対にないけど、それとは変わった関わり方で、日本各地の地域とのお付き合いができたらうれしい。というのを、今回のまとめにしておこう。

ちなみに、自分探しは、ブログでも十分にできると思うんだよなぁ。そんな遠くにいかなくてもさ。もうひとつちなみに、地域おこし協力隊についての相談をしてきた彼は、その後、何度か検討中の地域に足を運んで、魅力をみつけたらしく、今年から来年には仕事を辞めて、移住するそう。彼のこれからにとっても、地域にとっても、よい巡り合わせであることを願う。